看護領域

 看護領域の用語・分類標準は未だ開発されていない。しかし、開発途中のもので、国際的に認知・流通しているものがいくつかあり、それを1.にあげた。NMDS,NANDA,NIC,NOC,ICNP(βバージョン)は、日本語に翻訳されている(必ずしも最新のものではなく、一つ前のバージョンとなっているものもある)。
 1970年代後半から1980年代前半は、看護が対象としている現象や看護ケア行為を分類し、命名することに焦点があてられ、看護の中だけの議論にかたよりがちになっていた。しかし、1980年代後半から1990年代にかけて、医療費高騰にあえぐ多くの先進諸国では、さまざまなヘルスケアリフォームが試みられ、特にUSAではマネジド・ケアが進展し、政治的な意味を強くもった看護用語・看護ケア分類が必要となっていった。また、ITの進歩により病院情報システムが組織全体をカバーするようになると、コンピュータ化に対応できるものへと進化せざるをえなかった。近年、1.に示すものは、政治的戦略性とコンピュータ化に対応できることを強く意識して開発されるようになってきている。
このような標準化の動きはわが国ではなく、輸入した海外の用語・看護ケア分類の直訳に近い翻訳を、学習し、またそのままHISの中に組み込んできたといえる。
 他方、日本の病院で実践している看護に注目して、看護用語や看護ケア分類の国内標準を構築することに視点をおいた、実態調査・データセット開発・評価指標開発、などにとりくんでいる研究もでてきている。それらは、2.に示した。いずれも欧米のように政治的戦略性とコンピュータ化に対応できることのいずれか、あるいは両者を目的に、研究されたものである。
 今回、表中に示したものは、コンピュータ上で使用することを意識して、開発あるいは修正されたもの、あるいはその修正バージョンを対象としている。また日本のものとしては、このような標準化を考える上で、貴重な知見を提供してくれる研究をリストアップした。本報告は、決して、看護用語あるいはその標準化の歴史を解説するものではなく、また看護用語の概念的・理論的・哲学的説明をするものではない。具体的には、電子カルテ上で用いる看護用語のマスターファイルを検討する上で、参考となるある一定地域の中で認知されている看護用語群といってもよいのかもしれない。
 なお、本インベントリー内に示したものは、未だ開発中のものであり、またその翻訳にもいくつかの課題が残されていることを付記しておく。使用に際しては、ユーザー側が、その限界を熟知した上で、活用すべきものと考える。

1.国際的承認の得られているもの
(1)NMDS(Nursing Minimun Data Set)
(2)NANDA(North American Nursing Diagnosis Association)
(3)NIC(Nursing Intervention Classification)
(4)NOC(Nursing Outcome Classification)
(5)ICNP(International Classification for Nursing Practice)
(6)OMAHA
(7)HHCC(Home Health Care Classification)


2.国内の看護用語・看護ケア分類・看護のためのデータセット・評価指標に関する研究のうち、注目されるもの

(1)看護サマリーデータセット:日本医療情報学会課題研究会・看護サマリーネットワーク研究会・・・・約400項目

(2)看護行為のラベルの適切性について:中西睦子(研究代表):看護実践を記述する用語の解析および用語体系の構築に関する基礎的研究(文部科学省研究補助金)
    *臨床現場で、看護婦が使っている用語の、命名と内容の一致状況について、緻密な実態調査(面接・聞き取り、テープ記録あり)を行った。その結果、一致状況は、領域によって異なっていること、一致率は50%〜80%程度であり、また不適切と思われる行為名称も検出された。

(3)看護ケアニーズの研究:新道幸恵(研究代表):看護ケアニーズの構造に関する研究(厚生労働省研究補助金)
    *患者のケアニーズの実態調査を、患者の代弁者であるナースに対して行った。因子分析の結果、8つのケアニーズが特定された。またそれらのケアニーズには、どこの病院でも行う看護と、病院によってちがいのある看護とが存在した。

(4)在宅ケア領域の訪問看護におけるプロトコール開発研究:川村佐和子(研究代表)厚生科研
    *訪問看護の質保証を行う上で必要な医療行為の標準的プロトコールを開発した。このプロトコールにしたがって、訪問看護をすることで、一定の質保証が得られる。訪問看護婦と主治医の間で、協定書を作成し、実施するモデル事例を実施した。

(5)看護必要度の研究:
 1分間タイムスタディによって、看護婦の仕事内容を詳細に実態調査した。この調査を実施するために必要となる看護業務分類は、非常に具体的で、「見えやすい看護」の部分に関しては、参考になる。


本項では下記のコードについて述べる。

1.NMDS

2.NANDA

3.NIC

4.NOC

5.ICNP

6.OMAHA

7.HHCC

8.看護サマリーネットワーク